これはブラック確定?基本給が低い会社で働き続ける3つのデメリット

基本給が低い会社の危険性
  • うちの会社は基本給が低くて手当が多い
  • これって会社にメリットあるの?
  • ボーナスや残業代が少なくなるって本当?

 
給料明細を見てこういった疑問を持ったことがある人は多いと思います。

 
正直なところ給料は「月給」として一括りで捉えている方が多く、「基本給」と言われてもあまりピンとこないでしょう。

 
ですが、はっきり言うと基本給の設定が低い会社は間違いなくブラック企業です。
ボーナスや残業代の額が下がるなど企業側にだけメリットがあり、労働者側にはデメリットしかありません。

 
この記事では基本給が低い会社で働くことの危険性と、巧妙に考えられたそのカラクリについて解説していきます。

基本給を分かりやすく説明すると

この記事を書いていくうえで重要な「基本給」について簡単にご説明します。

 
基本給とは読んで字のごとく、固定された賃金の基礎的な部分のことを指します。
残業手当や住宅手当、家族手当などの様々な諸手当と基本給を足すことで皆さんが毎月貰っている月給になるという事です。

 
通常の給料イメージ:基本給(固定)+ 諸手当(変動あり)= 月給

 
給料明細書があれば明記されていると思いますが、あまり明細などを見ない方もいるのでこれを機会にきちんと確認してみましょう。

基本給が低い場合の具体例

では実際に月給22万円をもらっている人を例に見ていきます。

 
一般的な給料モデルの場合、月給のうち基本給が占める割合が多くなりますが、基本給が低い場合は下記のように諸手当の割合が大きくなります。

 
一般的な給料モデル:基本給20万+ 諸手当2万= 月給22万
基本給が低いモデル:基本給14万+ 諸手当8万= 月給22万

 
大雑把に言ってしまえば、給料の総支給額が同じでも「固定でもらえる給料を低く抑え、諸手当でその分を補っている」というような状況です。

 
それでは、実際に基本給が低い会社で働くデメリットを見ていきましょう。

基本給が低い会社で働くデメリット

残業代が少なくなる

残業代は1時間当たりの賃金の25%増しで計算されます。計算式を作るとこんな感じです。

 
残業代の計算式:1時間当たりの給与 × 1.25 × 残業時間=残業代

 
当然ですが「1時間当たりの給与」を算出するのに基本給が関わってくるため、ここを低く設定されてしまうと苦労して働いた残業代まで下がってしまう事になります。

 
また、会社によっては「みなし残業」という形で、最初から手当の中に残業代が含められている場合もあります。これは一定の時間分(例えば月20時間など)の残業代を最初から固定で手当として支給する制度です。

 
この決められた時間を超えた分に関しては、残業代を支給しなければいけないのですがこれを無視している会社も多く、超過分の残業代が未払いになることもしばしばあります。

ボーナス・賞与の金額が少なくなる

求人情報などを見ていると「賞与年2回/2か月分」等の表記を見ることがあると思います。

 
上記のような求人を見た場合は算出基準は企業によっても異なりますが、基本的な見方として賞与は「基本給×2か月分」が正しいと思ってください。

 
これを先ほどの2つの給料モデルに当てはめてみましょう。

 
一般的な給料モデル
基本給20万+ 諸手当2万= 月給22万
基本給20万×2か月分=40万×年2回=年間賞与80万

 
基本給が低いモデル
基本給14万+ 諸手当8万= 月給22万
基本給14万×2か月分=28万×年2回=年間賞与56万

 
上記のように「賞与=基本給×○か月分」という式で計算すると、給料の総支給額が同じにもかかわらず年収で24万円もの差が出てきます。この年収の差は総支給額が多ければ多いほど広がっていきます。

退職金の金額が少なくなる

企業が行う退職金算定の方法は様々ですが、昔からある会社は勤続年数に比例して支給額が増えていくスタイルを取っている場合があります。

 
分かりやすく言うと、退職時の基本給に勤続年数別の支給率をかけて計算する方法です。
例:基本給×勤続年数=退職金

 
これは勤続年数が長くなるほど退職金が上がっていくため、勤めている側としてはありがたい制度ですが、元となる基本給が低いと退職金も低くなってしまいます。
  
 
また下記のような算定方法もあり、扱い方は企業によって様々です。

 
ポイント制
→ 勤続年数や役職などにポイントを付け単価をかけていく

テーブル制
→ 役職や貢献度別に定めた等級などをもとに算定する

 
自分の会社の退職金算定方法に基本給が関わる場合には、最終的な金額が少なくなるとみていいでしょう。

基本給が低い会社の本当の狙い

人件費の節減~とにかく従業員にお金を払いたくない

基本給が低い会社の一番の狙いは人件費の節減です。

 
確かに経営をしていく上で経費節減は必要かもしれません。
仕事が少なければ時給で働くアルバイトを早く帰したり、無駄な備品を揃えるのをやめたりと、一般的な認識で言えばせいぜいこの辺りです。

 
ですが前の項目でも書いた通り、賞与や退職金に関しては会社に勤めてくれている従業員の為の物であって「余計なもの」ではありません。
会社にとっては長年勤め続けてくれる社員に対して支払うべき対価であるはず。

 
ただそんな必要経費まで「払いたくない」という酷い会社だけが、基本給を低く抑えて諸手当で水増しをする方法を取っています。

経営の調整弁~経営が悪化した時の調整がしやすくなる

雇用契約の関係上、会社の意志だけで社員の基本給を下げることはできません。これは実際に法律で守られています。

 
手当に関しても労働者側に不利になることに関しては「不利益変更」と言われており、手当を無くすのに妥当と思われる理由と労働者の同意を取った上でしか変更ができません。

 
通常であれば、です。

 
実際には同意を取らず社員の不利益になるような手当のカットを行う会社が多数あり、このような事態に悲鳴を上げる人のほとんどが「基本給を低く設定されている人」という事になります。

給料明細の内容は必ず確認する

給料明細などはあまりじっくり見ない人も多いかもしれませんが、自分の月給がどのように成り立っているのかを確認する意味でも、きちんと確認してみましょう。

 
昔、月給が多い友人に内訳を聞いたら「半分近くが残業代などの細かい手当だった」なんてことがありました。

 
これは仮に月給が30万だとしたら、法律上守られているのは基本給の15万円で手当で成り立つ15万は保証されていないという事です。

意図が不明な手当に騙されない

給料明細をきちんと見るようにしたら、今度は手当の内容に気を付けましょう。

 
手当と書かれていると「うちっていい会社だなぁ」なんて思ってしまいそうですが、前の項目で書いたように給料調整のための手当かもしれません。※基本給の水準が高い会社の場合は別です。

 
自分にとって不利なアクションを取られていないか、疑ってかかるくらいで丁度いいと思います。手当の数が増えてきたり、給料明細に細かい項目が急に増えてきたりしたら要注意です。

総支給額が同じでも基本給が高い会社を選ぼう

この記事で書いてきたように、基本給の設定が低い会社で働くことはデメリットが多く、同世代のサラリーマンと比べて将来的な不安を抱えることになります。

 
月給が高くても諸手当の割合が高ければ、いつかはカットされる対象になる…。

 
また退職金はおろか、残業代や賞与の金額が低くなってしまうようでは安心して将来の為の貯金もできません。

 
結婚や子供が欲しいと考えている人なら尚更不安を感じるでしょう。

 
こういった自分たちの利益しか考えず、社員を大事にする姿勢がない会社は絶対に避け、給与制度がしっかりとした安心できる会社転職をおすすめします。

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