- 休憩時間もまともに取れず1日16時間以上働かされている
- 帰宅しても眠るのがやっとで、人間らしい生活が出来ない
- 違法な気もするしこのまま働いていけるか不安で仕方ない…
16時間労働が当たり前のような会社に入ってしまい、こういった悩みを抱えている人は少なくありません。
実際に私も過去に16時間以上働くような職場で働き、当然のように体を壊した経験があります。
ちなみに当時は20代で体力的にも一番余裕のある時期でしたが、それでも体を壊してしまったため、30代以上の方ならかなり厳しいはずです。
冷静に考えれば一般的な8時間労働の倍は働いているため、どんなに体のケアを頑張ったとしても、体を壊す結果になるのは当たり前なんですよね。
ただ忙し過ぎるとまともな思考力を奪われてしまい、自分の状況を冷静に判断する余裕が無いのも事実です。
この記事ではそんな人の為に、1日16時間労働の異常な状況に気が付く為のヒントについて解説していきたいと思います。
目次
1日16時間労働では眠るだけでやっと
16時間労働を冷静に意識したことがない方は危険だと言えます。
実際に忙し過ぎると目の前の事に精いっぱいで、冷静な判断力を失ってしまいがちですよね。
私自身も、当時はその異常さに気が付くことが出来ませんでした。
考えてみれば24時間のうちの16時間ですから単純に考えても1日の3分の2、一般的な8時間労働の人の2倍は働いている訳です。
そうなると残りの8時間を使って、食事や入浴はもちろん睡眠から出勤前の身支度・通勤までこなさなくてはいけません。
実際に私は通勤時間を除くと睡眠を取るのがやっとで、プライベートの時間なんてほとんど取れませんでした。
人間究極に疲れていると、食事・入浴は「まぁいいか…」となってしまい、ベットに倒れ込むだけの生活になってしまいます。
本当は将来の為の勉強や、自分の好きなことをやる時間などが欲しいところですが、実際には通勤時間などの関係で3~4時間の睡眠が取れればいい方でしたね。
ここまでくるとプライベートどうこうの話よりも、人間としてまともな生活が送れなくなっている状態なので、体を壊すのは時間の問題と言ってもいいでしょう。
16時間労働は違法ではないのか?
一般的には1日8時間労働が基準となっているため、16時間労働については違法性を疑う方もいると思います。
ただ特別な条件を満たすことで、1日16時間労働をしても違法にはなりません。
まず、36協定(サブロク協定)という協定を結ぶことで、”1日8時間・週40時間”という法定労働時間を超えた残業をさせることが可能になります。
■36協定の残業限度時間
期間 | 限度時間 |
---|---|
1週間 | 15時間 |
2週間 | 27時間 |
4週間 | 43時間 |
1ヵ月 | 45時間 |
2ヵ月 | 81時間 |
3ヵ月 | 120時間 |
1年間 | 360時間 |
しかし、これだけでは1週間で15時間・1ヵ月で45時間など残業時間の上限があるため、1日8時間の残業はさせられません。
ここで36協定の”特別条項”という特例を使うことで、上の表にある限度時間が撤廃され、残業時間の上限を超えた労働が可能になります。
この”特別条項”を簡単に説明すると、会社が危機的状況に陥るなど何か特別な事情がある場合にのみ認められる”特例”といったところでしょうか。
つまり、36協定を特例付きで結ぶことで16時間労働は違法にならないという事です。
非常に悔しいですが、法律で決まっていることなので仕方がないですね。
実際に私が体験した1日16時間労働
働くために生きているゾンビの様な生活
私が以前働いていた会社では、朝8時始業で定時が17時という勤務時間でした。
ただこれは対外的な営業時間であり、実際オフィスのなかではこれ以降も仕事が続きます。
おまけに忙しいのにスタッフが少ないため「8時~17時」では終わることはまず不可能、営業時間と同等の残業をしなければ仕事が終わらないような職場でした。
朝は5時に起きて身支度をし1時間車を走らせて7時には出社。そこから定時であるはずの17時に10分ほどの休憩を取って急いでカップラーメンを食べ、23時か遅くとも0時には会社を後にするような生活です。
急いで車を走らせても帰宅すればだいたい夜中の0時~1時ですから、その時点で家を出るまでもう4~5時間しかありません。
疲れていて食欲もないので1~2分だけシャワーを浴び、運転の為にも4時間は眠りたいので髪の毛も乾かさず、ベットに倒れ込むような毎日でした。
ちなみに完全な休みは週1日という状態で、1日16時間労働の疲れが取れるわけもなく、徐々に体の異変を感じるようになってきます。
無謀な働き方は長く続かず体を壊していく
1日16時間労働が週6日で週96時間。まともな会社なら守られる法定労働時間の週40時間の2倍以上働いていたわけなので、次第に無理が効かなくなってきます。
結局その会社では1年半頑張りましたが、心と体のバランスが崩れてくるのが分かり、日々の生活にも影響が出始めたことをきっかけに逃げるように退職しました。
この会社はご想像されているとおりのブラック企業で、直近でも私の前に2人ギブアップして退社しているような職場です。
本当はもっと早く逃げ出せばよかったのですが、従業員の負担を一切考えない会社に頭にきており、ムキになって働いてしまったというおそまつな結果です。
実際に日々忙しく、労働時間の計算などをしている余裕が無いほど仕事に追われていたため、自分の職場の異常さに気が付くのが遅れたというのがこの失敗の原因だったと思います。
あまりに忙しすぎると自分を振り返る余裕もありませんが、今現在同じような環境の方がいるなら、冷静に自分の状況を考える時間を作りましょう。
少しでも早く気が付くことが出来れば、身体を壊すリスクを下げられますし、自分の貴重な人生を無駄使いせずに済みます。
16時間労働が引き起こす弊害
慢性的な睡眠不足で運転も出来ない
通勤時間などにもよりますが、1日16時間も働いていると良くて1日4時間、短いと3時間ほどの睡眠しか取れないため、自然と慢性的な睡眠不足に陥ります。
私は通勤で車の運転をしていましたが、信号の停止中に一瞬意識が遠のきクラクションを鳴らされることも良くありました。
今考えると恐ろしいことですが、眠気が酷い時にはコンビニに車を止めて仮眠したなんて経験が何度もあります。
こういう話をまるで武勇伝のように話す方もいるんですが、どう考えても職場の環境が異常なだけで何の自慢にもなりませんよね。
こういった例に限らず、日常的に意識が遠のくほど睡眠不足に陥っている方は、事故を起こしたり事故に遭ったりする可能性があるので注意が必要です。
常にイライラして八つ当たりをしてしまう
仕事が忙しい上に睡眠時間も短いためか、当時の私はかなりイライラしていました。
抱えられるストレスがもう限界を超えていたんですよね。
ただ自由な時間がないので解消することも出来ず、家族や友人にきつく当たってしまったり散々な態度を取っていたと思います。
せっかく友人が遊びに誘ってくれても、疲れていて適当にあしらってしまったり、自分より暇そうな人を見ては馬鹿にするような態度を取ってしまうこともありました。
もちろん私の未熟さによる部分もあると思います。
ですがこういう状態は完全に「日々の余裕のなさ」からきており、人間として最低限の生活が送れていない事の表れだと言えるでしょう。
頭を締め付けるような謎の頭痛で眠れない
そんな無茶な生活を続けていくうちに、だんだんと謎の頭痛に襲われるようになってきました。
それも普通の頭痛ではなく、頭を締め付けるような激しい頭痛でこれが原因で眠れなくなる日も多くなりまさに悪循環です。
あまりの痛みに耐えかね病院で勤務状況を話すと「働き過ぎによる疲労と精神的なストレス」が原因と言われ、16時間に及ぶ労働時間についても注意を受ける有様でした。
ただ当時はそんなことを言われても解消する手段がなく、一人途方に暮れた記憶しかありません。
病院の先生いわく、まともな生活をしていればまず起こらない症状なので、こういった経験がある方は体からの危険信号と捉えた方がいいですね。
異常な労働時間では確実に体を壊す
業界の慣習や慢性的な疲労に慣れきってしまい、1日16時間の労働を「当たり前」と認識している人もなかにはいると思います。
ただ異常な労働時間で働き続けてしまえば、近い将来確実に体を壊す日がやってくるでしょう。
「働かなくては生きていけない」というのは事実ですが、仕事は人生や健康を犠牲にしてまでやるものではありません。
仮に自分のやりたい仕事が激務だった場合や、創業したてのIT企業で自己実現をしたいという方なら別かもしれません。
ですが生活のために働いている人が、会社から無茶な働き方をさせられているのであれば、記事中でも書いたように今の働き方を考え直す機会を作るべきです。
失った健康は簡単には元に戻りません。
「自分だけは大丈夫」と思わずに、このまま5年・10年と働き続けていける職場なのか、今一度考え直してみましょう。