- 1日の半分以上を会社で働いていて正直きつい…
- 休憩もろくに出来ない環境で疲れもなかなか取れない
- 毎日12時間以上働くのって普通なの?違法じゃないの?
会社で12時間労働をさせられながら、こういった悩みを持っている人は少なくないはずです。
社会経験の少ない方だと「こんなものなのかな…」と誤解してしまいがちですが、一般的に考えて12時間労働は普通ではありません。
法律上では、1日の労働時間は8時間を超えないように定められています。
仮に残業代がきちんと支給される会社であれば、「残業があって助かる」と感じる人がいるかもしれませんが、実際に支払わない会社も少なくありません。
この記事では、1日12時間労働が続く会社で働き続ける事のリスクについて解説していきます。
目次
12時間労働ではまともな生活が送れない
12時間労働と聞くと誰もが「きついな…」と感じますよね。
ですが実際には会社に滞在する時間に加え、出勤前の身支度や通勤などそれ以上の時間を消費しています。
例えば会社の近くに住んでいて通勤に「片道30分」、起床から家を出るまでに「1時間」が必要な人の場合で計算すると、仕事のために実質14時間も使っている計算になります。
ただこの例ならまだいい方で、会社からもっと離れていて通勤に「片道1時間」、女性の場合なら身支度に時間がかかって「2時間」となると、合計で16時間にもなってしまいます。
帰宅してから使える残り時間が良くて10時間だとすると、その時間で食事や入浴・睡眠を取らなければいけません。
毎日12時間労働を乗り切るなら、正直なところ8時間は寝たいところですよね。
ただそうなると、人によっては自分の時間が全く取れない人も出てきくるため想像以上にストレスを抱えてしまう事もあります。
まさに「家には寝に帰るだけ」という状況で、まともな生活は送れません。
- 毎日12時間労働 → 生活に全く余裕を持てない
12時間労働は体力に自信がある男性でもきついですし、女性なら身なりに構っていられないほど疲れるはずです。
1日の半分以上の時間を仕事に奪われてしまうと、なんとか毎日をやり過ごすのに精いっぱいで、私生活を充実させることは難しいでしょう。
仮に今は大丈夫だとしても、年々体力の衰えと共に厳しくなっていくはずです。
法律的に考えて違法性はないのか?
基本的に法律上の残業時間の限度は決められている
労働時間については、労働基準法で“1日8時間・週40時間”と定められています。
ですが法律で定められた8時間を超過する”残業”というのは、また別の扱いなんですね。
あまり知られていませんが、企業側が従業員に残業をさせるには「36協定(サブロク協定)」という協定を、会社と従業員の間で結ぶ必要があります。
正確には労働組合などと書面で協定を結び、労働基準監督署に届け出ることで「残業」が可能になります。
これには当然普段の残業だけでなく、休日出勤なども含まれています。
では実際に協定を結んでしまえば、時間の際限なく残業させられるのかというとそうではありません。
基本的に「36協定」では、下記のように延長時間の限度がきちんと定められています。
■一般労働者の場合
期間 | 限度時間 |
---|---|
1週間 | 15時間 |
2週間 | 27時間 |
4週間 | 43時間 |
1ヵ月 | 45時間 |
2ヵ月 | 81時間 |
3ヵ月 | 120時間 |
1年間 | 360時間 |
上記の表を見ていただくと分かりますが、仮に12時間労働で4時間の残業を1週間したとすると1週間で20時間になります。
そうすると既にこの上限時間を超えてしまっているんですね。
同じように2週間、4週間と計算していっても全て限度を上回ってしまっています。
36協定には”特別条項”という特例が存在する
何故こういった残業時間の上限オーバーが起こるのかというと、36協定には「特別条項」というものを付ける事ができ、これによって規定の限度時間を超える事ができるためです。
これは36協定のルールの上で、特別な事情が予想される場合にのみ限度時間の超過が認められるもので、”特別条項付き”という形で届け出れば限度時間を超えた残業が可能になります。
分かりやすく言えば、会社がどうしても人員的に厳しい時に限り特別に許される方法と言えます。
ただほとんどの会社が、この辺りのルールに対して認識していない場合が多く、長時間労働がなくならない要因のひとつでもあります。
残業代が支払われているかどうかも重要な問題
長時間労働の話をする際に、必ず話題に上がるのが「残業代」です。
記事冒頭でも軽く触れましたが、仮に12時間労働をしたとしても残業代がきちんと支給される会社なら多少は報われるでしょう。
実際に毎日12時間労働をしていれば、少なくとも月に100時間近い残業になるので、それだけでも馬鹿に出来ない金額になりますよね。
現に残業代を全額支払う会社に勤めている人は、20代でも40万近い給料になる人もいる位なんですよ。
この場合は仕事がきつくても、対価が支払われるので踏ん張りがききますし、不満に思うどころか「ありがたい」と感じる人もいると思います。
貯金も貯まりやすいと思いますし、家や車のローン返済に充てられますからね。
ただ現実的には支払わない、もしくは一部しか支払わない会社も少なくありません。
これは長時間労働に対する不満の原因でもあります。
- 12時間労働がきつい → 対価が支払われない → しんどいだけで辛い
決められた月給だけで会社の都合のいいように利用されたら、誰だって気が滅入りますし嫌になるはずです。
そういう意味では、長時間労働に対して対価が払われているかどうかは重要と言えます。
1日11時間以上の労働はうつ病の発症率が”2倍以上”に
ロンドン大学のスティーヴン・スタンスフェルド教授が行った調査によると、1日11時間以上の労働をする人は、うつ病の発症率が通常の2倍以上になる結果が出たとされています。
これは1日の労働時間が7~8時間の人に対して、11時間以上働いている人の方が2倍以上うつ病を発症しやすいという結果です。
⇒ 鬱病になったらどうしたらいい?仕事をしている社会人の向き合い方
普通に考えても何となく想像はつきそうですが、調査対象が2000人以上とされているので長時間労働がいかに心身にダメージを与えるかを再認識させられるような研究ですね。
ただ長時間労働が引き起こす問題は、”うつ病”だけではありません。
本題通り1日12時間労働になってしまうと、最近では社会問題化しつつある”過労死”の危険性も出てきます。
何故かというと過労死の可能性が高まる「過労死ライン」が労働時間で80時間~100時間とされているため、該当されている方は非常に危険な水準に達しているのが分かると思います。
⇒ 【保存版】過労で倒れる前に必ずチェックしたい9つの症状とその原因
長時間労働を続けるなら身体を壊すリスクも考える
最近では大手企業での過労死などが大きく取り上げられ、社会問題として認知されてきているため、労働環境の正常化を訴える声が大きくなることは確かでしょう。
ですが現実は一部のまともな会社だけが、法律やモラルを守っているような状況です。
たまの残業ならともかく、”毎日が12時間労働”となると肉体的疲労はもちろん精神的な負担も大きいため、決して無視できる問題ではありません。
今のまま働き続けていけるのかどうかを、これを期に真剣に考えるべきです。
先ほども少し触れましたが、過労死の可能性が高まるような状況で働き続けてしまうと、以下のような状態になる可能性もあります。
■過労の症状例:脳梗塞・くも膜下出血・心筋梗塞・うつ病
会社が無くなっても生きていく事は出来ますが、身体を壊してしまうとそれが困難になる事もあります。
働くことだけで精いっぱいの今の現状が、自分の将来を考えた時に本当に正しい選択なのか一度よく考えてみましょう。