- 正社員なのに待遇がアルバイトとさほど変わらない…
- ボーナスや退職金もないし、スキルも身に付いていない…
- 名ばかり正社員では安定した将来は望めないの?
低賃金で人を使い倒すブラック企業に入ってしまい、こういった悩みを抱える”名ばかり正社員”の方は多いですよね。
巷では“なんちゃって正社員”・”周辺的正社員”なんて呼び方をされることもありますが、決して他人ごとではありません。
社会保険やボーナス・退職金など正社員だからこそ教授できるメリットを一切得られず、責任や勤務時間だけが増えていくような状態は誰もが不安です。
でもこの状況に目を背けずに危機感を持てた人にはまだ可能性があります。
何故なら危機的状況に気付きながらも、惰性で名ばかり正社員から抜け出せない人が本当に多いからなんですね。
実際こういった状況は中小企業などのいわゆる「零細企業」に多く、大勢の人が年齢を重ねてからキャリアに行き詰まりを見せています。
始めは「正社員」という肩書に魅了されて入社したものの、「形だけの社員」だという現実を知ったころには抜け出せなくなっているのが実情と言えます。
この記事ではそんな「名ばかり正社員」に隠された闇と、これから待ち受ける過酷な現実について解説していきます。
目次
「正社員ならクビになりにくい」は間違い
正社員は非正規社員よりも解雇されにくいという利点がありますが、名ばかり正社員の場合ははこれに該当しません。
正確に言うと、中小規模のブラック企業では必ずしも正社員が生き延びられるとは限らないからです。
実際に中小零細企業ではワンマン社長の気分次第で社員がクビになる事も珍しくありませんし、過酷な労働環境に放り込むことで退職に追い込むことすらあります。
世間一般的には「正社員ならクビにならない」と考えられていますが、それは無法地帯であるブラック企業以外の場合でしょう。
現にブラック企業は正社員の待遇を削れるだけ削ってしまい、「形式上の社員」を量産してしまっています。
名ばかり正社員の待遇は散々なことがほとんど
僕たちが成人してから正社員を目指す理由は”安定した生活が保障されるから”です。
アルバイトと正社員では待遇や安定性に大きな違いがありますし、将来のことを考えると安定が欲しいと考える人が多いですよね。
正社員は固定給が貰えたりボーナスが貰えるといった短期的な面だけでなく、社会保険や退職金といった老後の生活を考えた面でも非常に安心できます。
実際に正社員になって得られるメリットとしては、以下の様なものが挙げられます。
- 昇給
- 社会保険
- 賞与(ボーナス)
- 退職金
- 住居・家族手当など
この中からあなたはいくつ該当したでしょうか?
これは会社によっても異なりますが、しっかりしている会社ほどこれらの待遇をきちんと満たしています。
しかし名ばかり正社員の現実はひどく、これらの待遇が全て受けられない上に、低賃金で週2日の休みすら取れないことも珍しくありません。
ここに残業代すらつかないという人がいれば、責任と労働時間だけが増えただけで、アルバイトとなんら変わりないという事が分かってもらえると思います。
仮に”名ばかり管理職”であれば、ボーナスや社会保険などそれなりの待遇は受けているはずですが、”名ばかり正社員”ではどうにもなりません。
このように名ばかり正社員だと、賃金や保証面での待遇はまったく伴わないのに、”責任と労働時間だけは正社員待遇”という人が多く存在します。
非正規から正社員になりたがらない人も多い
こういった”正社員であっても待遇が伴わない”状況を目の当たりにし、正社員になりたがらない人も増えています。
飲食業などのアルバイトでもよく見られる光景ですが、派遣社員などでも正社員への登用を打診される場合があり、それを辞退する人が一定数いるという事です。
現実として名ばかり正社員の実態を間近で見ていれば、割に合わないと感じて断る人のはがいる当然です。
ボーナスや退職金がないだけでなく、パワハラや休日出勤などを目の当たりにしていれば、とてもそこで正社員になる気はしないからです。
正社員という肩書のためにそんな危険なポジションに上がってしまう位なら、当面は非正規社員でいる方がいいと考える人の方が多いんですよね。
この現象から分かるのは、「名ばかり正社員」というものが働く側から問題視され始め、「正社員」という肩書を捨ててでも避けようとする人が増えているという事です。
名ばかり正社員は待遇だけでなく将来も危うい
気になっている人も多いと思いますが、名ばかり正社員は本来正社員なら受けられるはずの待遇が受けられません。
そこまでして従業員への待遇を切り詰め、”名ばかり正社員”を生み出してしまうのは、会社自体がブラック企業だからに他ならないからです。
そもそも会社がきちんと利益を上げていて経営状況が良ければ、従業員への待遇を切り詰める必要はありません。
これは大手大企業の待遇が良い事からも明らかですよね。
こういった従業員に対する異常な経費削減の裏には、”そうしなければ存続が危うくなる”という会社の現実があります。
ボーナスや社会保険、退職金などそれでなくとも将来への不安があるところに、会社の存続も危ういかもしれないという事です。
大事な貯金や年金保険などが積み上がっていかないばかりか、名ばかり正社員であることすら出来なくなる日がくるかもしれません。
新しい道として派遣社員になるのは遠回り
実際に、社会保険や退職金のない名ばかり正社員に危機感を覚え、零細企業からの脱出を試みる人もいます。
年齢的に若ければそこまで苦労しないはずですが、30代後半から40代近くになってしまうと焦ってしまい、派遣社員になってしまうような流れですね。
こういう人は取りあえず派遣社員になり、「いつか正社員としての雇用を目指す」という考えの方が多いと思いますが、これはあまりお勧めできません。
というのも派遣社員というのは、専門的で高度な技術が必要とされる職種や人材の雇用が難しい職種以外に関しては、最長で3年までしか働くことが出来ません。
この3年までしか就業できない仕事は「自由化業務」と呼ばれています。
もちろんその間に結果を残すことで、正規雇用となる可能性もなくはありませんが、3年後にまた職を探す可能性が常につきまといます。
加えて年齢が30代後半から40代近くになってしまうと、年齢の壁から正規雇用への道が閉ざされていることも少なくありません。
また、この記事で触れているようなブラック企業に入ってしまった場合、正規雇用になれても「また名ばかり正社員だった…。」ということにもなりかねません。
こういった理由から、職探し中の生活費などが工面できるのであれば、最初からまともな待遇を受けられる正社員の仕事を探した方が確実です。
正社員を目指すのであれば、取り敢えず派遣社員になっても結局遠回りになってしまいますし、正規雇用になれる人も限られてしまいます。
まともな正社員を目指すなら軌道修正が必要
ここまで名ばかり正社員について書いてきましたが、あなたの会社は大丈夫でしょうか?
「正社員」という肩書は信用もあり、人によっては自信にもつながるため魅力的で価値があるのは確かです。
ただ現実として社会保険やボーナス・退職金など、正社員だからこそ得られるメリットが無いのであれば、どこかで会社に見切りをつけ軌道修正をする必要があります。
遠い未来のことの様に思えますが、実際に社会保険や退職金などは老後の生活に大きな影響を与えますし、これが人生を左右するといっても大げさではありません。
先に触れた通り、年齢を重ねてしまうと軌道修正がしずらくなってしまうこともあるため、きちんと時期を見極め納得のいく待遇を得られる会社を探す必要があります。
大手企業などではなくても一般的な待遇を受けられるような”社員を大事にする会社”に入るために、転職時にはしっかりと会社の事前調査を行いましょう。